#01 荻野 貴司 「現状に満足しない。まだまだ上手くなれる。」

非特待生の学生時代。そしてプロの道へ。

 

|競技を始めたきっかけは何ですか?

荻野:友人のお母さんから誘われたからです。自分が小さい頃はJリーグが発足して、サッカー人気がすごかったので、サッカーと野球どちらをやろうか悩んでいましたが、たまたま野球の方に先に誘われたので、野球をやりました。今思えば、自分にとって難しいスポーツを選んでしまったかもしれませんね(笑)

|いつ頃プロを目指そうと決心しましたか?

荻野:うーん、社会人野球部に入ってからですかね。高校、大学の時は、正直厳しいと思いました。そもそも高校、大学と野球の特待生ではなかったんです。  特に大学では、相手チームに大隣さん(元千葉ロッテマリーンズ)や金刃さん(東北楽天ゴールデンイーグルス)など、とんでもないピッチャーがいたので(笑)大学当時は、プロではなく、社会人で野球をやりたい!と思っていました。社会人野球で、レギュラーで出場し始めてから、プロでもできるかな?と思い始めました。でも、できるかな?程度でした。

強みを意識し、やらされるのではなく自分からやる。

 

|上手くなるためにいつも心掛けていることはありますか?

荻野:野球だけではないと思いますが、何事にも上手くなるためには、日々の積み重ねだと思っています。例えば、素振りです。少ない数でもいいので、全力で、自分の納得いくスイングを必ず毎日やることなどです。 やらされるのではなく、自分からやることですね。

|競技の上達に特に役立ったと思う練習やトレーニングなどがあれば教えてください。

荻野:難しいですね(笑)。正直に言うと、野球に関する、打・守・走は全て大切です。その中でも、自分の売りは走力なので、野球以外のトレーニングだと、2年前くらいから陸上のトレーニングを取り入れています。やはり一流の選手が集まっているプロの世界ですので、その中で自分が勝負できる所の一番は走力だと思っていますので、常に走力アップを考えて、トレーニングしています。

辛くても仲間がいるから頑張れた。

 

|今までで一番辛かった(悔しかった)時期や思い出は?

荻野:もちろん、今のプロ野球のキャンプはしんどいですし、大学もしんどかったです(笑)ただ、やっぱり一番は高校ですね。特に冬練習はきつかったですね(笑)

|一番きつかったのは?

ランニングとトレーニングのサーキットですね。種目はなんだったかな。辛すぎて忘れてしまいましたが、5種目をサーキットでやってました。もう、戻りたくないですね(笑)

|どうやってそれを乗り越えたんですか?

荻野:どうやって、、、やるしかなかったですね(笑)当時は、どんなトレーニングが効率的とか、考える余裕が無く、一生懸命やれば上手くなると信じて、必死にやってました。あと、仲間がいたから乗り越えられました。一人じゃ絶対に無理でした。自分の出身校は、公立校なのですが、部員全員で100人くらいいましたので、全員で耐え抜きましたね。

体の状態を確認する意味でもルーティンを大切に。

 

|試合前の体のケアで気を付けていることはありますか?

荻野:自分はルーティンを大切にしています。試合前には、必ずストレッチとトレーニングをして、今日の体の状態を確認して、不安がある部分をケアします。ルーティンを行うことによって、毎日同じ体の状態でいるかチェックできますので、もし、違うと感じたらトレーナーさんに手伝ってもらいます。

|けが予防のために日頃から行っていることはありますか?

荻野:ストレッチは毎日欠かさずしていますね。あと、自重トレーニングをします。

|ウエイトはしない?

荻野:自分はあまりやらないですね。高校、大学は結構やっていました。壁にウエイトの結果を貼ってありましたから。ウエイトは負担がかかりやすいので、ある程度筋肉がついたので、今はほとんど自重でやってます。

|食事管理について日頃から気を付けている事はありますか?

荻野:食事ついては、食べたいものを食べてます。焼肉とかは大好きですね。ただ、バランスや量は気にしています。そのあたりは、妻がしっかり考えてくれているので、安心しています。本当に感謝ですね。

|どの肉が多い?

荻野:うーん、牛肉が多いですね(笑)というか、好きなのでついつい(笑)

現状に満足せず、「自分らしさ」を追求する。

 

|選手として一番大事にしていることはなんですか?

荻野:現状に満足しないことです。まだまだ上手くなれる、まだ動けると常に思っています。

|何歳まで現役を続けますか?

荻野:最低でも40歳!

|座右の銘などあればを教えてください。

荻野:「自分らしく」です。これは、高校の頃からずっとです。自分がいるプロ野球界では、自分より大きい方ばかりです。そんな中で、自分にしかできない事があります。それぞれに役割があるんです。ホームランを打つ選手もいれば、守備固めの選手もいます。自分にしかできない何か、自分の中では、「足を活かす」ことだと思います。現状に満足せず、「自分らしさ」を追求する。

休む時はちゃんと休み、やる時は純粋に頑張る。

 

|きつい時もあると思いますが、競技を続けられるモチベーションは何ですか?

荻野:個人的には、上手くなりたい、少しでも上に行きたいと思っています。シーズンでは、勝ちたい、優勝したいと常に思っています。むしろ、そう思っていないとダメですよね。

|競技の為に我慢している事はありますか?

荻野:少し変わっているかもしれませんが、休みは練習する事を我慢しています(笑)どうしても体を動かしたくなってしまいますが、休むことも大切なので。しかし、完全なオフは取っていません。治療や体のケアに充てています。

一番「らしさ」を出せる走塁。

 

|自分が一番輝く瞬間は?

荻野:勝ちにつながる、価値ある走塁をした時ですね。

|打った時ではない?

荻野:そうですね、まず打たないと塁に出られないですね(笑)先ほども言ったように、それぞれの役割があると思います。自分の中で、一番「らしさ」を出せるのが走塁だと思っています。そこで、勝敗を決める走塁を決めたときは、最高ですね。

|ここ最近で一番うれしかったことは?

荻野:子供と会話が出来る様になった事です。最近息子から、「ちょっと失礼」と言われたので、びっくりしました。どこで覚えた?と思いました(笑)子供の成長を見る事が、本当に楽しみですね。

|やっぱり野球やらせたい?

荻野:野球にこだわらず、好きな事を一生懸命やって欲しいですね。むしろ、小さい頃は色々な事をやって欲しいです。自分は、空手をやって欲しいと思います。

|なぜ空手を?

荻野:東京オリンピックでも競技になっていますし、個人的に興味があるので。

|空手いいですよ!

荻野:じゃ、なおさらやらせたいですね(笑)組手とか見てても、一瞬のスピードとかすごいですよね。かっこいいと思います。でも、妻が野球大好きなので、野球をするのかな~と思います。

何としても日本一。後はいつまでもかっこいいお父さんでいる。

 

|最後に今後の目標をお聞かせください。

荻野:一年間シーズンを通して活躍する。そして、自分が入団10年目を迎えるので、なんとしても日本一になります。あと、いつまでもかっこいいお父さんでいたいですね。幼稚園の父親競争とかでは、負けないよう(笑)息子が野球をわかるまでは、バリバリ現役でやれるよう頑張ります。

素敵な目標ですね!ありがとうございました。

プロフィール

荻野 貴司(33歳)
所属:千葉ロッテマリーンズ
投打 :右・右
ポジション:外野手

プロ野球界が誇るスピードスター。今シーズンはプロ入り10年目の節目を迎え、更に盗塁数も200が目前に迫っている。自身の節目のシーズンに、2005年以来のリーグ優勝、2010年以来の日本一を目指し、持ち前の瞬足巧打で、チームを引っ張る。勝負を決める盗塁に注目。